まこ亜美(セラムン)とフェイはや(なのは)を中心にSSやらを扱っています。 百合発言などがあるので、苦手な方はバックすることをオススメします。

空と海の交わる空間(6)

ついにラストです!









どうしたら許してもらえるのか皆目見当もつかない。
そう言ったら彼女は「二度と側を離れないで欲しい」と言った。

こちらとしてもその条件はとても魅力的で、絶対離さないと誓った。









「いつまでもここにいたら風邪ひいちゃうよね」


「そうね、でももう遅いかもしれないわ」



くすりと笑う彼女はいつもの彼女で。
久しぶりに見た笑顔に自然と自分にも笑みが浮かぶ。



「どうしたの?ほっぺ真っ赤よ?」



ジャブジャブと陸に向かって歩いていると左頬に手を当てられた。
そこはレイの渾身の一撃を食らった場所で。
先刻のやり取りですっかり忘れていた痛みが思い出したためか急に戻ってきた。



「レイちゃんに殴られた。あたしがいつまでもうじうじしてたから」



仲間の強い想いの表れではあるのだが。
でもこれはないよね、と肩をすくませると苦笑いが返ってきた。



「とにかく帰って手当てしなきゃダメよ」


「別にだいじょう……あ」



コンクリートに固められた道路に上がろうと周りを見渡すと、自転車の残骸があった。
そうだ、自分はコイツに乗ってやってきたのだ。
この距離だ。きっと彼女もバスか何かに乗ってきたのだろう。

けれど丑の刻が近づこうとしているこの時間に交通手段なんてものはない。しかもずぶ濡れ。タクシーを呼ぼうにも携帯は家。おまけに彼女のトランクもある。
まったく勢いだけで来るものではない。




仕方ないので歩いて帰ることにした。というかそれしか選択肢はない。
この暑さなら、いくらじめじめしていても服が乾くかもしれない。それにいつまでもあそこにいるわけにもいかなかった。


こんな真夜中なこんなところ。
車どころか人っ子一人通らない。
独りじゃなくて良かったと心から思った。





そのあとなんとか家にたどり着いたもののあれから二時間以上もたっていて。
くたくただったので、きちんと体を温めないで寝てしまった。

そのおかげで彼女共々すっかり風邪をひいてしまった。
夜中に長時間海に浸かっていたのだ。当たり前と言ってしまえばそれまでなのだが。



















「そんなにベッタベタならロンドンくらい離れてたほうがちょうどよかったんじゃないのぉ?」


話し終わった第一声がこれだった。
数日後、「巻き込まれたんだからいいでしょ!」という鶴の一声に、事のあらましを説明する羽目になった。
風邪が治ったころを見計らっての呼び出しには、感謝すべきなのか悩むものだったが。

勿論大事な部分は曖昧にしといたが、それでも感謝していることは確かなので一応全てを話した。
もし二人がいなかったら元には戻らなかったかもしれないだろうし。



「ちょっと離れたかと思ったら、今度は近すぎなのよ」

「そうよ。それに、そんなに寄って座る必要ないわよ。隣に誰か来るわけじゃないんだから。」



クラウンのいつもの奥の席。そこは充分な広さがあり、いつも座っているとはいえあまりに広さがあった。
特にソファーの部分には片面で三人は座れる広さがあり二人ならゆったり座れる。
なのにお互いくっつくように座っていたらしい。
しっし、と手を振られたが離れる気なんて毛頭ない。
隣にはもう1人か2人座れそうなスペースが空いているが、座ろうとする人はいないだろう。というか座らせない。



「べ、別にワザと空けてるわけじゃ…」

「じゃあそんなに寄ってるのは無意識?あ~お熱いことで」

「ちがっ…」



どんどん美奈子マジックに嵌っていく彼女。
否定されるのがちょっと悲しかったりもしたけど、これは彼女の照れ隠しで。
こうやって茶化されるのも、いつもの毎日に戻ったんだと実感できてとても温かい。



「うん。そうかもしれないね」


「「ちょっ…まこちゃん!?」」



美奈子のにししという笑いを真似てみる。
それに気づいたのはレイだけだろう。アイスティーを飲みながら含み笑いをしているのが視界の隅に写る。
あまりに予想外の反応だったのだろうか、2人が驚愕の表情を浮かべていた。
二人して同じ表情をしているのがおかしくて、こみ上げてくる笑いが我慢できなくなってしまった。



「あは、あはははは」

「え、ちょっと、まこちゃん?何で笑うのよ!!?」



大声を上げて立ち上がった美奈子は周りの客からの視線を一身に浴び、ストンと大人しく席に座りなおす。
その光景が笑いを助長してしまい、いよいよ止まらなくなってしまった。
それは徐々にレイや美奈子、そして彼女にも伝染して。
とても温かい空間だった。












空と海は決して交わることはない。
それぞれが違う空間を持っているのだから

それは変わらない真実。



けれど自分達があの日見た世界は、間違いなく一つの世界だった。
心も身体もあの時一つの空間にいたのだ。

それもまた変わらない真実。



長い歳月を見るのではなく、一瞬を輝かせたい。
彼女との日々を輝きで満ちた記憶にしたい。



あの日空と海が交わったように。


















ここまで読んでくださった方ご苦労様ですw
皆様もうお気づきでしょうけど今回は”自分”と”彼女”のお話
名前でなくあえて”彼女”として登場したのはそれが”自分”にとっての特別な席だからなのです。
”自分”という空間を、世界を構成するのに必要不可欠な隣人にして同居人。そんな感じでしょうか。
そのことがちょびぃぃぃっとでも伝わる作品になっていればいいかな、と思います。



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