まこ亜美(セラムン)とフェイはや(なのは)を中心にSSやらを扱っています。 百合発言などがあるので、苦手な方はバックすることをオススメします。

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きた!きたきたきた!!!

もらったよ!!
yskさんからもらったよ!!焦らしプレイされたけど
ほっこりじわじわな素敵な八神家SSですよ!


続きからドゾ!

We love you!



「ぅう~…さむい……」

 電気を消した暗い部屋の中で、一人ぼやいた。けれども、反響することもなく暗闇に吸い込まれて消えた。
 火照った身体は思っているよりも熱くて、なのに指先や足先は冷えていて、肩の辺りは寒気がする。そんな矛盾した感覚の中で、明日は学校どうしようとか、朝ごはんは何を作ろうかと、思考はあっちこっちに行き交う。
 それよりも今現在進行形の、風邪の引き始めの馴れないだるさとか喉の違和感とか、どうにかならないものかと思ってみても、どうにもならないのが現実だったりする。

「はぁ……」

 ……風邪がもたらす不調や違和感に対して嫌気が差してきた。どうしようもないなぁ…なんて考えてないで、諦めてさっさと寝ることにした。





 朝、起きたら風邪なんてきっと治ってるやろ──と思っていたときが私にもありました……。
 当然、たった一晩寝ただけで治れば苦労はしない。だけどそんな希望の薄い期待を抱いていたりなんかもした。あっさりと裏切られたけど。
 ベッドに縛り付けられてるんじゃないかと思うほど身体を動かすのが億劫で、それに加えて背中の辺りは汗をかいて寝間着が肌にベッタリと張り付いている。
 もう、どうしようもない──と、諦めかけたその時、戸をノックする音が部屋に転がった。

「はやてちゃん。入りますよ?」

 声とともに戸が開けられて、その主が現れた。

「シャマル…?」
「はい。シャマルです」

 少し目が霞んでいて見えにくかった姿が、徐々に見えるようになった。

「…シャマル」
「はい?」
「起こしてー」

 両手をだらしなく上げながら言った。きっといつもの姿からでは、決して想像出来ないであろう主の醜態。
 だけどそれを笑うでもなく、優しく笑って手を差し伸べてくれた。

「まったくもう…はやてちゃんったら」

 仕方がないなぁなんて口調でも、内心は嬉しいんだろうなと思う。
 だってこうして私から頼ることなんて、滅多に無いから。

「起こしますよー?」
「はーい」

 ぶらぶらと宙を漂っていた手が掴まれて、ゆっくりと引っ張られる。
 背中に回された手から優しさが伝わってくるような。そんな気がした。

「ありがとな。シャマル」
「いえいえ。……それよりも体調の方はいかがですか?」

 あまり芳しくないと、曖昧に笑って首を振ってみせた。

「あんまよくないなぁ」
「そうですか……それにしても、」
「ん?」

 途切れると思った会話は、そんなこともなく続いた。

「昨日は本当にびっくりしました」

 心労を吐き出すかの如く溜め息を吐かれて、身も蓋もない。

「いや、まぁ…あれはその、なんといいますか……」

 昨日の体育の授業中、結論から言うと倒れた。そうは言っても、少し頭がくらっとして膝を付いて立とうとした拍子に倒れただけで。保健室へ運ばれ熱を計ってみるとあらびっくり、三十八度。
 運良く家にいたシグナムとシャマルに迎えに来てもらって、なんとか一件落着……でもなかった。

「無理はしないで下さい、って日頃からあれほど言ってたのに……」
「せ、せやからその、気付かなかったんよ?」

 朝、起きたときはなんともなかった。思い当たる節なんて一つもない。恐らく……。あ、何日か前から体がちょっと重かったような気が。

「は~や~て~ちゃん?」

 そんなことあるわけ無いでしょう? 嘘なんかで誤魔化させません、と言わんばかりの素敵な笑顔。
 流石は湖の騎士シャマル。思念通話も使わずに笑顔で伝えてくるなんて。

 ──あかん、勝てる気がせぇへん。

「……怒らんでな?」

 それはもうとびきりの笑顔で答えた。





「どうしてもっと早く言ってくれなかったんですか?」
「いや、な? その……言うたら、学校とか行かせてもらえなくなるなぁって思てな?」

 下手な嘘を吐くより正直に話した方が良いと思って、洗いざらい話した。……だけど、只今絶賛お説教タイム。

「当然です。…何かあったらどうするんですか? 学校でしたから良かったものの……」
「ごめんなさい……」

 シャマルの言う通り、倒れたのが学校だったから良かったけど、これが局や現場だったら大事になっていたかも知れない。

「本当に、心配したんですから……」

 優しく抱き締められた。とても、柔らかく。
 それはどこかこそばゆい感覚で、それでいて心の底から落ち着ける。そんな、温もり。
 どうにも、心配をされるのには慣れない。心配をする分にはまだいいが。

「はやてちゃん、…もう無理はしちゃダメですからね」
「うん……」

 こういう所で自分は一人ではないと、思い知る。自分に何かあれば、こうして心配をしてくれる人達がいる。

「みんな心配するんですから」
「うん」

 これからは、もう少し気を付けようと思う。心配をかけたって良いことは無い。

「約束ですよ?」
「はーい」

 子供みたいに返事をして、差し出された小指に自分の小指を絡ませる。

「約束を破ったらどうしましょうか?」

 いや、破らへんから、と内心で突っ込む。というか何でそんなに楽しそうにしてるんだろう……。

「私って信用されてないん……?」
「それじゃあ──」
「え、あれ? スルー?」

 とうとうスルーまでするようになったかと、これは喜ぶべきなのか気に病むべきなのか。主としては少々悲しい。

「一週間お仕事をお休みして頂きます」
「そ、そんなん無理やって」
「いいえ、絶対に休んでもらいます」

 絶対に譲りませんと言わんばかりに、絡まった小指に力が込められた。

「い、痛いっ! わ、わかったから指放してっ!?」

 熱のある身体じゃ力が入らなくて、腕を揺らすことくらいしか出来ない。そんでもって痛い。かなり痛い。

「約束ですよ?」
「わ、わかった約束するからっ!」
「はい♪」

 ここで引いたら本当に休む羽目になりそうだった。だから絶対に負けるものかと内心で意気込んでいたのも束の間、あまりの痛みに根を上げた。
 どんだけ痛かったかって、もう骨が折れるじゃないかと思ったくらい。それに、

「約束、しましたからね?」
「う、うん……」

 なんて、満面の笑みで言われたら頷くしかない。

「あ、はやてちゃん。汗、拭きますか?」
「え?」

 と、今思い出したとでも言うように何の脈絡も無く訊かれて一瞬、答えに詰まった。

「気持ち悪くないですか?」
「え…あ、うん」

 確かに、寝汗をかいていたから、このままでいるのは気持ちが悪い。

「わかりました。少し待ってて下さい」

 そう言ってシャマルはそそくさと部屋を出て行ってしまった。
 突然一人にされて、心なしか寂しくなった。

 不意に寒気を感じて、身体が震えた。汗が乾いてきたからだろう。
 それを見計らったかのように、戸が開いた。

「シャマル?」

 けれどそこには誰も居ないように見えた。

「ありがとうございます、シャマル」

 声がして視線を下に傾けると、アウトフレームになったリインがいた。その手にはお湯が入った桶を抱えていて。

「リイン?」
「はい、はやてちゃん」

 どうしてリインが? てっきりシャマルが来るものだと思っていたから。

「今日はみんなで、はやてちゃんの看病をするんですよ」

 私の考えていることを察していたかのような言葉にそういうことか、と合点がいった。
 それと同時に申し訳なく思う。今日はせっかく、みんな管理局の仕事が休みだったから。

「ごめんなぁ……せっかくのお休みやったのに」

 まあ、私は学校があったけれど。
 だから、何も気を遣わせないようにして、ゆっくり休んでもらおうと思っていたのに。これじゃあ失敗だ。
 なのに、優しい言葉をかけてくれる。

「はやてちゃんは何も悪いことしてないんですから、謝ることないです。それに──」

 そこで言葉が切れて、視線をしっかりリインへと合わせると、

「私は、はやてちゃんと居られるだけで嬉しいです」

 満開の花のような、満面の笑顔。それはもうとびっきりの。

 どうしてこう、風邪を引いているときって、妙に感情的になるんだろう。
 何だか無性に嬉しくて、泣きたくなった。

「なんか…泣きそう……」
「えっ!? あ、あのっ、私なにかしましたか!?」

 そんな私の心情とは裏腹に、慌てふためくリインに笑みがこぼれた。涙も一緒に。

「そないしてるとお湯がこぼれてまうよ?」
「はぇっ!?」

 桶の中のお湯があたふたするリインと一緒に揺れていて、教えてあげると動きはぴたりと止まった。それがまた微笑ましくて。

「もぉー! はやてちゃん!!」
「ごめんなぁ」

 怒る姿も可愛らしくて、全く迫力が無かった。だから余計に笑いを誘って止まらない。

 泣きながら笑って、笑いながら泣いて。

 笑いが収まる頃には、涙も止まっていた。





 背中を暖かいタオルが撫でる。程好く湿った感触が心地よくて、気持ちが良かった。

「どうですか、はやてちゃん」
「気持ちええよ~」

 リイン曰く、この役は競争率がとても高かったらしい。ザフィーラを除いて。
 何でだろう?

「かゆいところはないですか?」
「うん、ないよ~」
「くすぐったくないですか?」
「平気やよ~」

 弱くも強くもなくて、ちょうど良い力加減だった。だけど、こうされるのはどうにもこそばゆい。なんだかんだで嬉しいんだけど。そのせいか内心、浮き足だってそわそわしてしまう。

「はやてちゃん、じっとしてて下さい」
「は~い」

 おかげでこの調子だ。まるで小さな子供みたいだ。
 身体は酷く熱っぽくて怠いのに、わくわくするような形容し難い感覚が、タオルが滑ったところから沸き上がる。

「はやてちゃん、このくらいでいいですか?」
「あ……うん」

 だけど、終わりというのは来るもので。少し残念に感じて、した返事もそのまま声に現れた。

「え、もう少し拭いたほうがいいですか?」
「う、ううん。もうええよ?」
「そう…、ですか?」
「うん。ありがとう」

 それでも大丈夫だって、自分に言い聞かせて笑った。だって、きっとこれで最後ってわけでもないから。機会があればまたしてもらえばいい。そんなしょっちゅう風邪なんて引けないけど。
 だから、

「ありがとうな」





 身体に熱があると、普段は感じない色々なことに気付く。身体を拭いてもらって着替えをした時、肌着が少しひんやりと感じたことだとか。今、自分には自由に動かせる身体があるってことだとか。そんな取り留めの無いことの重なりが、生活を作っている。
 何に言えば良いのか、誰に言えば良いのか、判らないけど、ありがとうと言いたくなった。

「……ありがとうな」

 ぽつりと、私から零れた言葉に首を傾げて見つめてくる瞳。

「はやて?」
「…何でもないよ、ヴィータ」

 そっと笑いかけると「そ、そっか」と、ぽつりと言葉が零れた。

「はい、はやて。あーん」
「あーん」

 程好く冷ましてくれたお粥を頬張る。塩加減が疎らで所々しょっぱかったけど、それを具材の卵が中和していた。結構、美味しい。
 これをヴィータがシャマルに教えてもらって作った、というのだから驚きだ。シャマルよりも料理の才能があるのかも知れない、なんて思うくらい。シャマルには申し訳ないけど。

「美味しい?」
「うん。美味しいよ、ヴィータ」

 笑顔で応えれば、嬉しそうに笑って応えてくれる。
 こうして食べさせてもらうのは気恥ずかしいけど、ヴィータがどうしてもやってみたかったらしくて、致し方なく、本当に致し方なく。……なんて、本当は凄く嬉しかったり。

「はやて、あーん」
「あーん」

 一口、もう一口と食べていくと、あっという間に完食した。自分でもこんなに食べれるとは思わなかった。

「ごちそうさまでした」
「えっと…おそまつさまでした。で、いいのかな、はやて?」

 かくんと首を傾げる姿が可愛くって、ぐっと引き寄せてぎゅっと抱き締めた。

「もぅヴィータはかわええなぁ!」
「は、はやてっ!?」

 腕の中にすっぽりと収まって、まさにジャストフィット。そのまま柔らかい髪に頬擦りした。

「ヴィータ~!」
「~~~っ」

 ヴィータは抵抗しないと解った上で、抱き締めてる。こうされるのが嬉しいって知ってるから。ほら、その証拠に私の背中に手が回ってる。

「ほんまにヴィータはかわええなぁ~~!」
「ぁぅ……」

 顔を覗き込むとそれはもう見事なくらいに真っ赤に染まっていて。

 嬉しくって楽しくって、ずっと抱き締めてた。





「心配させてもうてごめんな、シグナム」
「いえ、何も無かったのであれば、それでいいのですが……」

 どこか歯切れ悪く話す姿は、どうにもシグナムらしくない。大抵、この場合は何かしら言いたいことがある時にする癖。
 シグナムが思っていることが何となく解って、鎌をかけてみる。

「…さっき、私がヴィータにしてたこと、されてみたいんか?」

 なんて冗談めかした口調で。

「そ、そのようなことは……!」

 すると案の定、かけた鎌に引っ掛かって、狼狽をし始めたシグナムに追い討ちをかける。

「シグナムは私のこと、本当は嫌いなんやね……!」
「なっ!?」

 とどめと言わんばかりにびしっと言い放ち、よよよと泣き崩れた。
 こんな三文芝居でも、シグナムが相手ならば絶大な効果を発揮する。
 ……そのままの体制を保つこと約一分。全く反応が無いから、ちょっと横目で様子を伺おう──

「…私は今まで一度足りともそのように思ったことは、ありません」

 とした所へ不意に胸に届く優しい想い。そこから溢れる温かい奔流が渦巻いて、熱い。
 悪ふざけに真剣に答えてくれたシグナムに、胸を打たれて感嘆の溜め息が零れた。

「シグナム…──って、え、えぇっ!?」
「主はやて。やはり私には、こちらの方が合っているかと思います」

 けれどそれもつかの間で、瞬く間に驚きに変わった。
 シグナムに抱き抱えられていた。昔みたいに、優しく。でも今は、それほど体が軽くないからどうしても気が引けた。

「そ、そうやなくて、お…重いやろ?」
「いえ、そんなことはありません」
「か、風邪がうつって──」
「大丈夫です。主はやて」
 なんとか下ろしてもらおうと言葉を並べても、全て受け流されてしまう。
 じたばたともがいても、優しく微笑まれれば、自分の幼稚さに恥ずかしくなって縮こまってしまう。

「うぅ……どうしたら、下ろしてもらえるん?」
「そうですね……、あなたがお休みになられるまで、こうさせて下さい」
「えぇぇっ!?」

 だって、そんな。寝るまでなんて。駄目だ。本当に。そんなこと出来ない。

「お願いします。主はやて」
「だって、…そ、そんなん、」

 今日はどうしてか、全くいつもの調子が出ない。熱があるせいなのかもしれない。
 嫌なわけじゃない。ただ、その、恥ずかしい。それに今、私は風邪を引いて熱があるし、それがうつることもあるかもしれない。
 だけどきっと、下ろしてはもらえないだろう。ここまで強情なときは、何を言っても言うこと聞いてくれない。

「主はやて」

 どうやら、諦めて覚悟を決めるしかないらしい。
 一つ息を吐いて、シグナムの首に腕を回した。それに比例して、体が強く抱き締められた。
 思いの外、眠気はすぐにやって来て瞼が重くなる。

「────」

 ありがとうって、言いたかったけど、もう言葉にはならなかった。

 だけど、瞼の向こう側に、笑顔が見えた気がした。





 目が覚めるときの感覚は不思議だ。特に意識して起きようと思ってもないのに、目が覚める。急に、ふと覚めることもあれば、どこか遠い所から、ゆっくりと意識がフェードインしてくようなときもある。
 今回はどちらかというと、後者の方だ、というよりそれに近い気がする。
 瞼を開くと、傾いた陽の光が窓から射し込まれて薄橙色の温かさに迎えられた。
 朝、起きたときよりも幾分か楽になった体を起こしてふと、床に目をやるとそこにはザフィーラがいた。相変わらずに狼形態だ。

「主、お目覚めになりましたか?」
「うん」

 聞くものをどこか安心させる低い声は、いつ聞いてもほっとする。

「お加減はいかがですか?」
「みんなのおかげで、だいぶようなったよ」

 いつもは寡黙なザフィーラが、こうして話してくれるのは嬉しい。
 流れるのは穏やかな沈黙。ゆったりと静かに過ぎる時間はどうにも手持ちぶさたに感じた。だけどこんなふうに、何もせずに過ごすのも悪くはないのかもしれない。
 そんな中ふと、なんてことのないことを思った。

「…こうしてザフィーラと二人でおるんも、なんや新鮮やな」
「いえ、そうでもありません」
「そか~?」
「ええ」

 そかな? と首を傾げて考えみても、なかなか出てこない。
 再び沈黙が訪れる。
 まるで、世界が止まってしまったかのように、静かで。
 耳を澄ませると、どこからか賑やかな話し声が、

『あたしがはやての様子を見に行くって言ってんだろ!』
『いいや、私が行く。お前は何か粗相を起こすかもしれないからな』

 話し声が……

『うっせーな! んなことしねぇーよ、このおっぱい魔人が!』
『なっ!? ヴィータ、貴様……!』
『胸に栄養やり過ぎて頭に足りてねぇーじゃね?』
『──いいだろう。レヴァンティンの錆にしてくれる!』
『おうよ、やれるもんならやってみろよ!!』
『二人とも、いい加減に……きゃあぁっ!?』

 聞こえ……て、しゃーないなーなんて思って、ベッドから立った。

「主、ここは私に」
「え? あ、うん……」

 矢先、ザフィーラが前に出てきて、ぺたんとベッドに逆戻り。
 ザフィーラはそのまま微かに開いていた戸を器用に開けて部屋から出ると、ドアが閉まった。
 一拍。
 そして咆哮が家を揺らした。

「な、なんなんっ!?」

 立ち上がり、恐る恐る戸へ向かうと、ゆっくりと開けた。
 まず視界に飛び込んできたのは、鍔迫り合いをしていた姿勢のまま固まったシグナムとヴィータ。それからその傍らで座り込んでいるシャマルに、寄り添うリイン。そして足下にはザフィーラ。

 ──どんな状況なん?

 真っ先に思ったのがそれだった。

「………」

 そしてなぜか誰も口を開かない。

「…みんな、どないしたん?」

 痺れを切らして問いかけてみるものの、なかなか返事が返ってこない。

 ──ほんまに、一体何事なん?

「主、お騒がせしました」
「え? あ、うん……」

 急にかけられた声に驚いてつい頷くものの、そして再びの沈黙。…さっきから一体なんなんだろう。
 もう一度問おうとしたとき、シグナムとヴィータが各々のデバイスを納めた。

「主はやて。申し訳ありません」
「はやて、…ごめんなさい」
「え、な、なに? どうしたん?」

 二人揃って頭を下げてくるものだから、もう何がなんやら。

「もう、どうなってるん?」





「えーっと、それだけ…なん?」

 なんとなく、なんとなーく予想はしていたけど、まさか的中するとは。拍子抜けするほど簡単に。

「はい……、申し訳ありません」
「はやて、その…ごめん、なさい」

 リビングのソファーに腰を掛け、事の経緯を聞いた後、今に至る。
 要するに、シグナムとヴィータのどちらが私の様子を見てくるか、ということで。

「ザフィーラがいてくれてたから、平気やったのに」
「はい、ですが……」
「なんていうか、その……」

 なんとなく、二人の言いたいことが解るのは、自惚れじゃないのかも。なんて思うくらいには一緒にいる。

「しゃーないぁ…」

 ある意味、いつものこと。こんな慌ただしさも含めて。

「みーんな、はやてちゃんのことが大好きなんですよね♪」
「はいですー!」

 と、ソファー後ろから転がる声に、目の前の二人に問いかける。

「そうなん?」

 音符が飛ぶくらい愛情たっぷりの笑顔で。

「え、あの、その……」
「あ、あたしはっ、えと……」

 これまた予想通りに、答えに詰まる二人に、自然と頬が緩むのが解る。
 当の二人はそれどころではないようで、しどろもどろに話す姿はなんとも可愛らしくて。

「私ははやてちゃんのこと、大好きですよ♪」
「リインもはやてちゃん大好きですー!」

 なんて思っていたら、真後ろから高速のストレートが飛んできた。

「な、なん!? 急に……」
「ザフィーラも、はやてちゃんのこと大好きよね?」
「………ああ」

 ソファーの背もたれの裏にいるザフィーラまで答える始末。いつもは言ってもらえていないから、どんな顔をして言ったのか見てみたいかも……じゃなくて。

「え、ちょ、なんでそんな話になってるん!?」

 これは恥ずかしい。かなり恥ずかしい。嫌ではないんだけど、むしろ嬉しいけど……って、流されたらあかんて! 威厳とか色々大切なものが……。

「みんなはやてちゃんが大好き! っていうお話じゃないんですか?」
「何をどう聞いたらそうなるんよ……」

 切実にそう思う。
 どうしてかみんな、私のことが絡むとこう、強引というか突飛になるというか。なんともいえない感じになる。

「あ、あたしだって、はやてのこと大好きだ!」
「わ、私はっ、その……、主はやて。あなたが、大好きです…!」

 なんて、真っ赤な顔をしてヴィータとシグナムもが、言うから。嬉しくって、恥ずかしくって、頬が、胸が熱くって。
 火照った身体は思っているよりも熱くて、なのに指先や足先は冷えていて、肩の辺りは寒気がする。そんな矛盾した感覚なのに、どうしようもないくらいに叫びたい、伝えたい想いが溢れた。
 ぐるっと私の座っているソファーを囲むようにいる家族を見渡す。
 シグナム、ヴィータ、シャマル、いつの間にかソファーの裏から出てきていたザフィーラに、そしてリインフォースⅡ。

 みんな、私を見詰めて笑っていて。

「あぁもう……」

 お腹に力を入れて、声を張り上げた。

「みんな、大好き!!」

 きっと、空の向こうで見守ってくれている彼女にも、届く声で。



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プロフィール

アジル

Author:アジル
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