「パーーーパーーーだーーー!!!!」
いつもどおりに駆け寄ってくる美奈。
正直パパって呼ばれるのも慣れたけど
家の空気が妙にそわそわしている気がする。
はて、今日はなにかあったかな?
[プレゼント]
「ただいま~」
「おかえりなさい」
亜美がいつもの笑顔で迎えてくれる。
こういうのを至福の瞬間なんて言うのかな。
と、ここで亜美がエプロンを着けていることに気付く
「ん?亜美ちゃん今日早いね。それにもしかして夕ご飯作ってる?」
「えぇ。だって今日は…」
言いかけた亜美の服の裾をうさがちょんちょんと引っ張っている
かがんだ亜美の耳元でうさが小さな声で話している。
何やら内緒話のようだ。人差し指を口に当て「ナイショだよ」なんて言っている
。
仕草は二人とも可愛いんだけどなぁ なにを話してるんだか
なんとなく横にいる美奈を見れば、知っていると言わんばかりのしたり顔
あーあれだ
仲間外れってやつですか
「パパ早くー」
「はいはい」
丁度ご飯も出来たようなのでみんなで頂きます。
「これあたしたちで作ったのよ!」
「うさもだよ?」
食べ始めるや否やエッヘンと言わんばかりに胸を張ってしゃべる美奈
その横でうさが控え目に続く。
普段は明るいうさのこの態度は珍しい。
きっと照れてるのだろう
「ん!美味しいよ」
食べている本人より喜んでいる二人に、自然と自分も嬉しくなる。
にしても今日は何の日だったかな?全然思い付かない自分が情けなくなってくる。
「「パパ!お誕生日おめでとう!」」
どうやら疑問が顔に出ていたようだ。
待ってましたと言わんばかりのタイミング。してやられた。
それでも、満面の笑みを浮かべる3人に、自然と嬉しさが込み上げる。
「うん。最高のプレゼントだ。ありがとう」
「まだプレゼントはあげてないよ?」
「えっ?他にもあるのかい?」
てっきり手作り料理がプレゼントだと思っていたから。
美奈とうさのきょとんとした顔に、こっちまできょとんとしてしまった。
「じゃあパパてーだして?」
無邪気な顔で言われたら断ることなんか出来なくて、素直に手を出すと
「はい!どうぞ!」
のせられたのは手だった。
見間違うハズもない亜美の手。
「えっと、これは?」
「だーかーらー!プレゼントはママなのっ!」
「「ぇえっ!?」」
どうやらこのことは亜美も知らなかったらしい。
かなり動揺してるみたいだ。
どうしよう。個人的にはかなり嬉しいプレゼントではあるんだけど
「どうして亜美ちゃんにしたんだい?」
「美奈子お姉ちゃんにね!」
「一番喜ぶって教えてもらったの!」
美奈子ちゃん…子どもに変なことばっかり吹き込むのはやめてください……
でもありがとう!
心の中で美奈子にお礼を言っておく。あくまでも心の中だけで。
「きにいらなかった?」
しゅんとしているところを見ると自信があったことが伺える。
はぁ…どこからそんな自信がくるのだろう。あながち間違いではなかったけど。
「いや、とぉおっても嬉しいよ!こんな素敵なプレゼントは初めてだよ」
「ほんと!?」
だから、素直に言うことにした。
この際だからガッツポーズも隠さない
美奈とうさは大喜びで身体をゆっさゆっさ揺らしている。
なんか振子みたいだな
横目で亜美を見ると耳まで真っ赤にして下を向いている。
彼女は何を考えてるんだろう。いや、きっと何も考えられなくなっているに違いない。
何はともあれせっかくもらったプレゼントだ。
さて、どうしようかな
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プレゼントは亜美ちゃんだなんて…子どもたちがいるとすごい和むのにこの展開!まこちゃんてば子どもの前で亜美ちゃんをどうするつもりですか!(滝汗)
エプロン亜美ちゃんは美味しいですね、ご馳走様です!
では、今後ともよろしくお願いいたします。